キャンパス札幌&帯広2023年9月 開催報告


気がつけば栗やさつま芋を使ったスイーツがあちこちの店頭に並び始め、本格的な秋の訪れを感じるようになってきましたね。

さて、キャンパス札幌&帯広では9月13日に『アルコール健康障害について考える』と題して、アディクションにはまっているソーシャルワーカーの田中和彦さんをお招きしてお話をうかがいました。

キートークでは、田中さん自身が精神科に勤務した頃、アルコール問題に関するプログラムを担当することになったことから、グループミーティングのファシリを行うことに…。その時に患者さんから「田中さんはアル中なのか?」と聞かれ、そうではないことを伝えると「アル中じゃないくせに、わかる訳がない」等と返され、そんな出来事がソーシャルワーカーとしての始まりになったというお話から始まりました。
一般的に知られている薬物(違法)・ギャンブル(借金)に加えて、アルコールも依存リスクが高いのに、「なぜ、患者さんはお酒を飲むのか?そこには何か意味があるのではないか?」と田中さんは考え、と同時に「お酒を飲むことでこんな害があって、だからやめるべき」という言葉は患者さんには届かないことにも気づかされたそうです。
そんな中、今もなお大事にしていることが、「必要性と効果」であり、“アルコールを使うのはどういう効果があるのか?ということを共有することである”と教えていただきました。アルコールを飲むことは患者さんにとっては意味のある行動であり、難なく苦痛を緩和できるものとして選択することが可能、しかもすぐに手に入り、コスパも良いことを患者さんとの対話の中で知ることができたそうです。
また、アルコールを飲み続ける背景には何らかのストレスがあり、家族も含めた人間関係、幼少期の体験、虐待、離婚、いじめ等さまざまであり、田中さんは患者さんに会ったら、「どういう時に飲むの?」「飲むといいことがあるの?」等とお聞きしているそうです。
そうして、時間をかけて断酒を目指していくことにはなるものの、アルコールを少しずつ減らしていくことから始めたり、患者さんはつながりで生きていけるということも理解し、アルコールではない別な癒しの何かに変えていくことが必要であることを教えていただきました。
最後に、田中さんは「お酒で困っている人はそのことを周囲に相談しにくい…そんな現状を変えていきたい」等という想いから、さまざまな活動や取り組みのため、全国各地を飛び回っていることも教えていただきました。

参加者からは、『お酒を飲む必要性と効果を共有することができたらいいなと思いました。ご家族への支援も考えなくてはと思います』『アルコール身体障害について短時間でエッセンスを語っていただき、とても分かりやすかったです!教育の意義は大きいですが、臨床も続けて欲しいと感じさせる先生でした』『田中さんの姿勢がとてもあたたかさを感じました。わかろうとする。とても素敵です』『田中節、今回も最強でした。ソーシャルワーカーとしての自分を振り返り、襟を正しました。何らかの背景がある、そこを理解しようとする姿勢、日々のソーシャルワークでとても大切にしていることでもあります。日々の忙しさに忙殺されている自分、思考の整理ができました。欲を言えば、実物にお目にかかりたかったです、ありがとうございました』等といった声が寄せられました。

長いも・山わさびの会では、田中さんから“ここだけの話“をしていただいた他、アルコール問題を抱えた人を理解することは難しくても、だからこそわかろうとすることが大切であること等を再確認する時間となりました。
貴重なお話をして下さった田中さん、ご参加いただいた皆様、ありがとうございました!続編も楽しみにしています♪

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