札幌では雪の知らせを告げる「雪虫」が今年は大量発生しています。日高山脈も雪景色になり十勝に吹き下ろす空気も冷えているでしょう。間もなく雪の季節を迎える道内各地です。
さて、キャンパス札幌&帯広では10月11日に『大人の発達障害について考える』と題して、SEEDとかち 共同代表 三浦直美さんとSEEDとかち 事務局 三浦潤一さんを教授にお招きしてお話をうかがいました。
キートークでは、まず、潤一さんがざっくりと発達障害についての特性の概要を説明して下さいました。精神疾患との併存症や二次障害になることも珍しくなく、障害による問題が現れ方や時期は人それぞれであるということです。大人になってから発達障害と診断された潤一さんがご自身の育ちのエピソードお話しして下さり、就学前から学童期には保育園から脱走したり、問題行動からクラスメイトから無視されたり、自転車の飛び出し事故を経験されたりなど、今思うと発達障害の特性も一因だったのかなと自己分析されていました。その後は家庭内のストレスから離れるために早く自立したいと実家を出られ、起業もしたのでのですが、離職・転職をくり返すようになり、家族のすすめもあり受診に至ったということです。心療内科を受診するもネガティブなイメージや将来への不安や希望が見えず「精神疾患を認めることは損失が大きい!」と感じられたそうです。それは、他人事で教育でも知る機会がなく、身近にロールモデルがなかったことが大きいのではということでした。そして障害を受容されるに至ったきっかけとなったのが、保育園で働く中で教員らからの発達障害に関する知識・情報に触れたことから、自分の幼少期に思い当たるふしがあると気付いたということです。専門家の受診、診断を受け入れた後は「やっぱりそうだった!」と安心感と将来への展望がわき、「発達障害で社会に貢献していこう!」、自分がロールモデルになり知る機会をつくろうと思うようになったと言うことです。今では積極的にご自身の発達障害について多くの場で発信されていらっしゃいます。
また、合理的配慮については求める配慮も人それぞれなので、その人の特性を理解した上で安心して相談できる体制・関係性が大切であるとお話しされていました。最後に潤一さんは「見過ごされて、支援を受けずに育ってきても、自分らしく発達障害とともに生きていきたい」と締めくくられたのがとても印象的でした。
次に直美さんからご家族の困りごとや悩み、周りでかかわることについてお話を伺いました。家族が異変を感じて受診をすすめても本人が気付いていないと受診につながり難く、日々家庭内に緊張感やストレスがあり家族自身も精神的にまいって心療内科に受診することもあるそうです。家族の立場として相談できる場所が不明確で情報も少ないのが現状で、周りの人に相談してもなかなか共感してもらえず家族が孤立してしまうようです。また、定職に就くことができないと経済的にも不安定で心身共にボロボロになると表現されていました。
家族も安心して相談できる場所や人が必要だと直美さんのご経験から今はご家族も安心して話せるように自助グループを作られ、活動されています。
実際に直美さんは複数の相談先やご自身の回復の場・人を持っていらっしゃってとても助けになったとお話しされていました。
最後に「発達障がいは治る・治らないではなく、変わる・成長する」「家族にも寄り添って欲しい、支援が必要」とお話し下さったのがとても印象的でした。
参加者さんからは、「その個性が強すぎて見えづらくなっているので、その方のありのままの姿を見る目を持つことが、合理的配慮には必要なのかなと思いました 」「発達障害は治る、治らないではなく、変化する、成長するが良かった 」「ロールモデルがあることで選択肢が増えて見通しをたてることも出来る 」など多くの学びや気づきがありました。
貴重なお話をして下さった三浦直美さん、三浦潤一さん、ご参加いただいた皆様、ありがとうございました!
11月のキャンパス札幌&帯広は11月8日(水)19時半〜『聴覚障害について理解する』教授:大谷短期大学非常勤講師 高畑訓子さんです。
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