弁護士 アーカイブ - CAN netスタッフのブログのブログ記事

お暑うございますね。
CAN net理事、東京メンバーの清水純子です。
東京は、7月の末から連日の猛暑でさすがに夏バテです。

リクエストにお応えして、「とんちゃんの法律相談所」を開催させていただきましょう。

…ちなみに、初回でもアピールいたしましたが、とんちゃんというのは私の高校時代の愛称です。『純』の字の右側が、屯田兵の『とん』だからなのですが、母はこれを聞いて『豚ちゃん』だなんてうちの娘はいじめられているのかとちょっと心配したそうですよ…。だいじょうぶだいじょうぶ、たぶん愛されてる。

 

さてさて、今回は、3つのQをいただいております。

Q1:弁護士と他の法律家の違いについて教えてください。

Q2:民事と刑事の違いは何ですか?

Q3:弁護士費用がない場合は自分で民事訴訟を起こせますか?

 

【Q1:弁護士と他の法律家の違いについて教えてください。】

みなさんは、困り事や悩み事があったとき、どんな人に相談されるでしょう。

体調が悪ければ病院でお医者さんに、不動産なら不動産業者(宅建士)さんに、税金のことなら税理士さんに…法律に関係しそうな問題だった場合には、弁護士、司法書士、行政書士…が浮かびますでしょうか。法律家、というとこの3つの職種を指すことが多いですね。いずれも国家資格で、有資格者以外は対価を得て業務を行うことは禁止されています。

それぞれを辞書的に説明すると…

◎弁護士:訴訟に関する行為、その他法律事務を行う者。

◎司法書士:登記・供託に関する手続きなどについて代理し、裁判所・検察庁・法務局に提出する書類の作成を業とする者。

◎行政書士:官公署に提出する書類その他権利義務・事実証明に関する書類の作成を業とする者。

 

違いがわかりにくいと思いますので、ほんとにとてもおおざっぱにメイン業務を挙げると…

弁護士は裁判所での訴訟の代理人になること、

司法書士は不動産・会社の登記と裁判所に提出する書類の作成、

行政書士は行政の許認可や届出の書類作成…となりましょうか。

 

原則として、依頼者の代わりに交渉や訴訟を行える代理人になる資格があるのは、弁護士のみです(認定司法書士といって、一定の条件で簡易裁判所での代理を行える司法書士もいます)。

法律相談は、書類作成の前提としては司法書士も行政書士も行いますが、依頼者の代理人にはなれないので依頼者の代わりに相手方と直接交渉することはできません。

 

私は大学の同級生だった司法書士と一緒に開業をしており、ときおり、「弁護士は費用が高いから、司法書士に依頼したい」との要望をいただくことがありますが、そもそも司法書士が資格として取り扱えない分野についてはご依頼いただけないので、お断りせざるを得ません。弁護士法違反で違法行為となってしまうのです。

例えば、破産や140万円以上の金額の紛争、争いのある相続や離婚などは、書類作成とアドバイスはできるけれども、相手方との交渉や裁判所での同席や発言はできない、という状況となります。

なお、現在、弁護士の費用の設定も自由化されていますので、弁護士の方が費用が高いというのも過去のイメージに過ぎないのではないかな、とも思います。

 

つまり、似たような職種に見えながらも、その専門分野のみならず、資格として扱える業務自体に違いがあるのです。相談したい方々からはわかりにくいという大変申し訳ない状況です。

どの職種に相談していいかわからないといったときには、あまり悩みこまずに、まずは無料法律相談などでご相談してみるのもひとつの手だと思います。「あぁ、その問題なら○○に相談するといいね」と、専門職につながる可能性がぐっと高まりますので。

体の具合が悪いのだけど、何科に行ったらいいかわからない、という状況に似ている気もしますね。

実は、弁護士は、無試験で弁理士・税理士・行政書士に登録でき、司法書士の業務も行えます……が! やはり専門分野としてやってらっしゃる方々には知識も経験もかないません。

たらい回しではなく1カ所への相談で全て解決するワンストップが望ましいとは思いつつも、餅は餅屋という面もあります。

CAN netが多職種のスペシャリストの集団であり、それぞれがつながっていることで、お応えできるニーズもあるはずだと思っています。

参考HP(札幌弁護士会のQ&A) https://www.satsuben.or.jp/faq/shoshi/

 

【Q2:民事と刑事の違いは何ですか?】

民事事件とは、人と人、会社と個人といった私人間(国家を相手にするときは別な呼び方をします)の紛争をいいます。ざっくり言うと、お金の請求になることが多いです。

刑事事件とは、犯罪行為があったのか、刑罰を科すべきか否かを判断するための手続をいいます。これまたざっくり言うと、『傷害罪で懲役1年、執行猶予3年』といった犯罪に関することです。

例えば、知人に殴られて怪我をして、『訴えてやる!』といったときに、民事事件として治療費や慰謝料を請求する民事訴訟をおこすのか、警察・検察に被害を訴えて刑事事件として処分してもらうことを希望するのか、意味も手続も異なりますね。

『貸したお金を返してくれない』というのは典型的な民事事件で、犯罪ではないので刑事事件にはなりません(元々返すつもりのない詐欺は別ですよ)。

警察の「民事不介入」という言葉を聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれません。警察・検察は原則として、犯罪行為の有無を判断するための捜査をすることはあっても、私人間の紛争を解決する役目ではないので、治療費の請求などは行ってくれませんし、借金の取り立てもしてくれません。

弁護士は、Q1の回答のとおり、民事事件の訴訟では依頼者の代理人となります。刑事事件に弁護士が関わるのは、ほとんどが被疑者・被告人の弁護をするときです。

 

【Q3:弁護士費用がない場合は自分で民事訴訟を起こせますか?】

はい、おこせます。
弁護士というのは、特に訴訟では強力な味方となりますが、必ず依頼しなければいけないものではありません。

費用としては、裁判所に一定の裁判費用(訴状に貼る収入印紙代と切手)を納める必要はありますが、印紙代といっても請求金額の1%以下なのでそんなに大きな金額ではありません。

例えば、借用書もしっかりある30万円の個人間の借金を返してもらいたいといった事件では、弁護士費用を訴訟の相手方に請求することも原則としてできませんので、費用対効果という意味で、個人で訴訟をおこすというのも一理あると思います。裁判所に納めるのは、印紙代3000円、切手6000円分ほどです。原則として1回の裁判で終わる少額事件という制度もあります。

もっとも、訴訟の内容によっては、専門家に任せていただきたいものもあります。例えて言うならば、明らかにただの風邪だというときに市販薬で様子を見るのはアリだとしても、手術が必要な大きな怪我のときに自分で手術をするのは危険です。しかも、手術が必要なのかどうかという見立てはちょっと難しい、というのが法律の世界かもしれません。

ですので、法律相談はどんどんご利用していただきたいのです。見立てだけれも受けておいて損はないはずです。

弁護士が必要だという事件で、弁護士費用が用意できない場合、弁護士費用を立て替えてくれて、月々5000円からの分割支払いでOKという法テラスの民事扶助制度というものもありますので、ご相談いただければと思いますよ。

参考HP(法テラス) http://www.houterasu.or.jp/index.html
さてさて。だいぶん長くなってしまいましたが、いかがだったでしょうか。
こんなことを聞いてみたいという質問があれば、これからもどうぞお寄せくださいね。
CAN net東京の弁護士、清水でした。

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こんにちは。CAN net理事、東京メンバーの清水純子です。弁護士をしております。

今年もきれいに咲いた桜を目にして春を実感しておりますが…少し散りかけた桜と新葉の明るい緑を見ると、「桜餅のようで美味しそうだな」と思ってしまうのでした。

北海道の桜も、もう少しですね。

さて、今回は『成年後見』という制度について簡単にご紹介したいと思います。

このコラムの場で正確に制度や利用方法についてお伝えすることは難しいのですが、このような制度もあるのだと記憶の片隅においていただければ、幸いです。

例えば、こんな状況にであったり、見聞きしたりしたことはないでしょうか。

高齢で独身、独居の方。認知症で要介護1の判定を受け、デイサービスを利用しています。行き来のある身内は妹さんだけで、月に1度ほど顔を出してくれています。ある日、部屋に高額なリフォーム工事の契約書、使われていない新しい羽毛布団のセットや浄水器、健康食品などがたくさんあることに気づきました…。

(詐欺的な商法で契約してしまっている可能性が高く、不要な契約はなかったことにするとともに、今後の財産管理が必要そうです。)

有料老人ホームに入居している方。骨折をきっかけに、杖をついてホーム内を歩くのがやっと、という状態になりました。介護用の部屋へ移る手続きや、介護サービスの利用など、必要な契約がたくさんありますが、ご本人ではとても難しそう。娘さんはいらっしゃいますが遠方におすまいで、そうたびたびホームに来ることは出来ない…。

(ホームや介護保険事業所とのサービス利用契約や、必要な支払いをご本人に代わって出来る方のお手伝いが必要そうです。)

こんなときに必要なのが、「成年後見」をはじめとする法定後見制度です。

「成年後見」をはじめとする法定後見制度(後見、保佐、補助)は、認知症や知的障害、精神障害などの理由で判断能力が不十分な方々に対し、本人の生活・医療・介護・福祉など本人の身の回りの事柄にも目を配りながら本人の保護・支援をするための制度です。

ただし、後見人等の職務は財産管理や契約などの法律行為に関するものに限られており、成年後見人を引き受けたからといって、日常の身の回りのお世話を一手に引き受けるということではありません。

また、同居のご家族のフォローがある場合、施設の入居や入院などに際しても大きな問題にはならないことが多いのですが、だからといって不要ということではありません。

例えば、「うちのおばあちゃんのことは同居のお嫁さんが全部やってくれているから安心」などとおっしゃられる方もいらっしゃいますが、後見制度を使わずに契約などを代行し、事実上のお世話を善意で続けてきたのに、後々の相続の際、つきあいの薄かった親族から、『おばあちゃんの財産を勝手に使い込んだのではないか』などと勘ぐられ、無用なトラブルになることもあるのです。…とても残念なことです。

具体的にどんなことをするかというと、不動産や預貯金などの財産の管理、介護サービスや施設への入所の契約、遺産分割協議などを本人に代わって行い、また、本人が騙されてしまったなどの不適切な契約を無効にしたり、施設に入所するために自宅不動産を売却する場合もあります。

いずれも、大きな契約の場合には裁判所に事前に許可をとることになりますし、事務報告を定期的に行いますので、後々のトラブルの防止ともなります。

成年後見等は、家庭裁判所に対して申立を行い、裁判所が後見人等を選任することではじまります。申立の際に親族等の中から後見人の候補者を指定することが多いのですが、必ずしも候補者に決まるものではありません。身寄りがないなどの理由で市町村長(実際には業際の福祉課など)が申立をすることもあります。

昨今の問題点として、後見人等が本人の財産を使い込んでしまったり、適切な財産管理がなされないことがあり、裁判所から、ご本人に一定程度の財産がある場合は、信託銀行を利用した後見制度支援信託が指示されたり、法律や福祉の専門家や法人が職業後見人として選任されたり、親族後見人に監督人がつくことも多くなってまいりました。

もっとも、後見人や監督人は敵ではありません。職業後見人や監督人と相談し、協同しながら、本人のためになる財産管理をしてこうという趣旨ですので、どうぞご理解ください。

ソーシャルワーカーさんや福祉事務所、家庭裁判所窓口、司法書士や弁護士の法律相談などでご相談が可能です。

是非一度、ご相談なさってみてくださいね。

(法務省のHP)
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji17.html#a1

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