『がんに関する意識調査』について
アンケート概要
実施機関 | 一般社団法人CAN net | |||
実施日時 | 平成25年7月12日〜14日 | |||
内容 | 以下、回答者ご自身に当てはまる方のどちらか | |||
用紙A「ご自身または身近なご家族が、がんを経験している方」 | ||||
用紙B「ご自身または身近なご家族が、がんを経験していない方」 | ||||
回答数 | 用紙A | 52名 | ||
用紙B | 57名 | |||
回答者属性 | 合計 | A | B | |
男性 | 41名 | 19名 | 22名 | |
女性 | 68名 | 33名 | 35名 |
アンケート内容
集計・解析結果
CAN netで100名以上の方に対して、がんに関する意識調査を実施しました。以下にその結果の概要を示します。
がんになった時の悩みごと・困りごとランキング
図1は、2003年と2013年のがんになった時の悩みごと・困りごとを比較したデータです(単位:%)。2003年の結果は、静岡がんセンター「がんの社会学」に関する合同研究班による、がんと向き合った7,885人の声の集計結果です。悩みごと・困りごとのランキングは、1位が気持ちのこと(精神的なこと)、2位が病気のこと(身体のこと)で、3位が生き方に関すること(2003年)から家族のこと(2013年)に変化していることがわかります。がんになったとき、病気のこと以外にも様々な悩みごと・困りごとが発生していることがわかります。
図1.がんになった時の悩みごと・困りごとランキング(2003年−2013年比較)
今、足りていないのは?
図2は、がんと診断されて困っていたこと、がんと診断された人に必要だと思うことの集計結果です(アンケートAより)。がんと診断されて困っていたこと(がんと診断されて一番目に困っていたことと二番目に困っていたことの和)は、1位が気持ちのこと、2位が家族のこと、3位が病気のことという結果でした。がんと診断されたときに、多くの人が自らの気持ちと病気のこと、自らを取り巻く家族のことに困るのは容易に想像ができます。また仕事のことやお金のことを上位にあげた人も2〜3割います。がんと診断されて困っていたこと1位の気持ちのことは、がんと診断された人に必要だと思うことの中で突出して1位(回答者の8割以上)であり、気持ちの問題への潜在的な需要が高く、また当事者の気持ちの問題にアプローチできていない現実がわかります。その他、がんと診断された人に必要だと思うことは、病気のこと、病院・医療者との関係、家族のこと、情報の集め方、第三者への相談と続きます。病院・医療者との関係、情報の集め方、第三者への相談については同じ状況の人にアドバイスしたいと考える割合が高くなり、がんと診断された人が実際に苦労した内容であると推測できます。
図2.がんと診断されて困ったこと、がんと診断された人に必要だと思うこと
がんに関する相談窓口の認知度
図3は、がんに関する既存の相談窓口の認知度の集計結果です。経済的な問題も相談できる病院のソーシャルワーカーや、がん拠点病院の「がん相談窓口」、がん検診センターが行っている「がん相談」についても、認知度が低く30%〜60%弱という結果でした。これはご自身または身近なご家族が、がんを経験していない方だけでなく、ご自身または身近なご家族が、がんを経験している方にも当てはまるものです。民間企業やNPOが実施している相談窓口の認知度は、さらに低く20%前後となります。
図3.がんに関する相談窓口の認知度
以上の結果により、「がん」になった場合に抱える悩みごと・困りごとは病気のこと以外にも多岐に渡り、その中でも特に気持ちのことが大きく、既存の相談窓口はあるもののそれらの認知度が低く、当事者の気持ちの問題にアプローチできていないことがわかります。がんになったときに医療以外の問題が多く発生する中で既存の相談窓口につながれず、患者本人と家族の努力によって問題に向き合わざるを得ない現実が少なからずあると考えられます。